VYM(バンガード高配当ETF)は平均以上の配当を出す普通株で構成されるFTSEハイデ ィビデンド・イールド指数に連動する上場投資信託(ETF)VYMについて、投資はありか過去のデータなどをズバッと分析していきます。
日本の個人投資家にも人気のETFですが、最近ではおすすめしないという意見もあります。このETFは買いか、分析です。
- VYMってどんなETFなのかわかる
- VYMの過去の株価推移やリターンがわかる
- VYMに投資する方法についてわかる
- VYMに投資するメリット・デメリットがわかる
記事で詳細にみていきますが、VYMの特徴をまとめると、
- 過去5年間で年率平均11%の高いパフォーマンス
- 過去5年間の配当金利回りが3%とインカムゲインとキャピタルゲインが狙える
- 投資対象が約400銘柄と分散投資ができ、リスク分散になる
ということですね。
今回は、そんなVYMに投資するメリットなど解説します。今後の米国株や米国ETFに投資する際の参考になる内容となっていますのでぜひ最後までご覧ください。
上場投資信託(ETF):VYMとは?
VYM(バンガード高配当ETF)は、バンガード社が運用するFTSEハイデ ィビデンド・イールド指数に連動した、米国の高配当銘柄約400社にまるっと投資できるETF(上場投資信託)です。
基本データ(2022年7月15日現在)
株価レンジ(52週) | 98.63 - 115.66ドル |
---|---|
経費率 | 0.06% |
分配金利回り | 3.33% |
1年リターン | 0.14% |
3年リターン | 8.13% |
5年リターン | 8.66% |
設定日 | 2006年11月16日 |
配当月 | 3月、6月、9月、12月 |
直近1年間のリターンはほぼゼロとなっています。22年に入って、短期的に株価は下落しておりリターンがかなり低くなっています。
ただ、5年リターンを見ても8%を超えており、パフォーマンスとしては非常に優秀なETFです。
株価の推移(チャート):5年
VYMの5年チャートは以下のとおり。
2020年2月のコロナショックの際は他の株式同様、93ドル前後あった株価が63ドル前後まで急落しています。その後、コロナの状況が落ち着くにつれ、株価は回復し、21年末には過去最高値にありました。
一方、22年に入って世界的な金融緩和の影響もあり株価が下落しています。VYMもS&P500ほどではないですが、短期的に急落していますね。
VYMの組入上位銘柄について
ではVYMの組入上位銘柄を見ていきましょう。
組み入れ上位にはアメリカの金融会社のJPモルガンをはじめ、製薬企業のJ&J、住宅リフォームや建設資材の小売り大手であるアメリカのホーム・デポなど、アメリカを代表する企業が名を連ねています。
VYMのセクター(業種)別の比率について
VYMのセクター別の比率を見ていきます。VYMの上位セクターは金融がトップにあり、P&Gなどの生活必需品(Consumer Defensive)、ヘルスケア、資本財の上位4セクターで6割以上を占めています。
高配当と言っても、SPYDのように不動産セクターが含まれていないのがVYMの特徴ですね。
VYMに投資するには?日本の投資信託でも可能?
VYMに投資するには、外国ETFを扱っている証券会社に口座開設して取引することになります。
VYMと同じFTSEハイデ ィビデンド・イールド指数に連動する投資信託として楽天証券で取り扱っている楽天米国高配当株式インデックスファンド(通称:楽天VYM)がありますので、日本円で小額から直接投資をしたい場合は、楽天米国高配当株式インデックスファンドを購入することをお勧めします。
楽天米国高配当株式インデックスファンドについては以下の記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。
VYMは、マネックス証券、SBI証券、楽天証券などの主要ネット証券で取り扱っているので、米ドルでの取引となりますが、日本株を取引するのと同じ感覚で売買することができます。
VYMの配当金・分配金のデータは?
それではVYM(バンガード高配当ETF)の分配金データと配当金の推移を見ていきましょう。
- 分配金利回り : 3.33%
- 分配金利回り(5年平均): 3.08%
- 3年平均増配率:5.18%
- 5年平均増配率:6.85%
- 配当月:3月、6月、9月、12月
(参考URL:Dividend Invester HP)
分配金利回りが直近1年で2.82%となり、ほかの高配当ETFであるSPYDやHDVより少し低いです。5年平均を見ても3.08%と決して低くはありませんが、分配金狙いであれば少し心細いですね。
上記は直近10年の配当履歴のチャートですが、きれいに右肩上がりで配当金も増えています。また、5年平均の増配率も7%弱あり、底堅く成長していっています。長期目線で見ても安心して保有していられますね。
分配金だけであれば、SPYDの方が利回りは高いですね。高配当バリューETFとして日本の投資家からも人気です。
VYMのリターンとパフォーマンスは?
以下は2006年の設定来のVYMのチャートです。
2006年の設定来で2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックを除けば、きれいに右肩上がりで株価が上がっており、配当のインカムゲインと値上がり益のキャピタルゲイン両方を理想的に狙えるETFとなっています。
(画像はSeeking alphaより)
また、直近10年のトータルリターンではS&P500には劣るものの、10年で2.5倍のリターンをたたき出しており、長期で保有しておきたいETFのひとつです。それにしてもS&P500のリターンは凄まじいですね。
どのETFでもS&P500指数を上回ることができないのであれば、投資初心者はS&P500に連動するインデックスファンド一択でいいという主張にも頷けます。
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VYMはおすすめしない?:メリット・デメリット
VYMのデータや過去のパフォーマンスを見てきましたが、これらを踏まえてVYMに投資する際の
- 投資するメリット
- 投資するデメリット
についてまとめていきましょう。
投資するメリット
VYMのメリットをまとめると、
- インカムゲインとキャピタルゲインの両方が狙える
- 投資対象企業が400社と分散投資できる
- 経費率が0.06%と低い
- 日本の主要ネット証券から購入できる
ということですね。
まず挙げられるメリットは、高配当利回りにもかかわらず、キャピタルゲインも狙える点です。VYMの場合は、配当金目的というよりは、最終的なトータルリターンのほうが魅力的(デメリットにも書いていますが、他の高配当ETFよりトータルリターンは2倍以上差をつけています)なので、長期保有を前提に買うことをおすすめします。
VYMに100万円投資しても年間の経費は700円程度ですので、長期間保有してもリターンへの影響はほとんどないですね。
なお、バンガード社の人気ETFということもあり、SBI証券、マネックス証券、楽天証券などの主要ネット証券から日本株を投資する感覚で投資することができます。
投資するデメリット
VYMのデメリットをまとめると、
- 分配金狙いの場合、利回りが少し物足りない
- トータルリターンではS&P500に劣る
デメリットとして利回りが低いと書きましたが、VYMのトータルリターンでは他社の高配当ETFと比較し、頭一つ飛びぬけています。個人的には今のところ大きなデメリットが思い浮かばないほど、優秀なETFのひとつです。私自身も高配当ETFはVYMしか保有していません。
参考までにState Street社のSPYDとブラックロック社の高配当ETFであるHDVをVYMと比較したチャートを載せておきます。
他社の同じような高配当ETFに比べ、トータルで高いパフォーマンスを発揮しています。
VYMへの投資:個人的な感想
設定来で見ても比較的高いパフォーマンスを出しているVYMなので、高い配当金をもらいつつキャピタルゲインも狙えるETFとなっています。
また、特に大きなデメリットもないため、長期目線で安心して保有していけるETFの一つだと言えるでしょう。個人的には自分の子供、さらには孫の世代まで持っていてほしいETFです(そこまで続いているかどうかわかりませんが)。
まとめ:VYMは買いか?
VYM(バンガード高配当ETF)について買いなのかどうか、ズバッと分析してきました。
記事の結論をまとめると、
- 配当金を得つつ、大きなキャピタルゲインも狙いたい
- アメリカ市場の中でも分散投資を目的にしたい
- 子供、孫の世代まで長期で受け継がせたい
ということです。高配当をうたうETFは複数ありますが、それぞれのメリット・デメリットを考えて決めればよいと思います。もし、何を買えばいいか迷うようであれば、VYMを最初に選んでおけば間違いないでしょう。
それでは。