米国のヘルスケアセクターの銘柄にまるっと投資できる、上場投資信託(ETF)VHTについて、投資はありか過去のデータなどをズバッと分析していきます。
- VHTってどんなETFなのかわかる
- VHTの過去の株価推移やリターンがわかる
- VHTに投資する方法についてわかる
- VHTに投資するメリット・デメリットがわかる
記事で詳細に見ていきますが、VHTは、
- 業績鉄板のディフェンシブ銘柄を集めたETFに投資したい
- ヘルスケアの個別株投資はリスクが高いと考えている
- 長期的な安定したリターンを追求したい
- 日本のアクティブ型投信のコストが高くて投資する気にならない
という方にはおすすめできるETFとなっています。
今回は、業績が底堅いヘルスケアセクターに投資するVHTのメリットなど解説します。今後の米国株や米国ETFに投資する際の参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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上場投資信託(ETF):VHTとは?
バンカード・ヘルスケアETF VHTは、米国のヘルスケアセクターの企業にまるっと投資できるETF(上場投資信託)です。
ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー 、メルくなどの医薬品企業などで構成されるMSCI USインベスタブル・マーケット・ヘルスケア・インデックスに連動します。
基本データ(2022年1月8日現在)
株価レンジ(52週) | 216〜268ドル |
---|---|
経費率 | 0.1% |
分配金利回り | 1.21% |
1年リターン | 10.62% |
設定日 | 2004年1月30日 |
配当月 | 四半期ごと(3、6、9、12月) |
株価の推移(チャート):5年
業績好調なヘルスケアセクターのETFということもあり、きれいな右肩上がりで上昇しています。
さすがに2020年2月のコロナショックの際には短期間で大きく株価は下落しましたが、既に暴落前水準を回復し、過去最高値を更新し続けています。
上位構成銘柄(2022年1月8日現在)
ヘルスケアセクターということもあり、構成銘柄は製薬会社が多いですね。
組み入れ比率トップのジョンソン・エンド・ジョンソンは、医薬品だけでなく医療機器や日用品なども扱っていて業績の安定した銘柄です。59年連続増配中の”配当王”ということもあり日本の投資家からも人気の銘柄です。
組み入れ比率3位のファイザーは、新型コロナ感染症のワクチンの開発及び大量供給に成功したということもあり、株価が短期的にかなり上昇しています。
その他、製薬会社以外にも、2位に入っているユナイティッドヘルスは、米国最大の医療保険会社で、グループ全体で約1.2億人にサービスを提供しています。
ヘルスケアセクターは業績が底堅いディフェンシブ銘柄が中心ですが、成長株に丸っと投資したいのなら、ナスダック100に連動するQQQやNASDAQ100 ETFがおすすめです。
特徴をまとめていますので、ぜひご覧ください。
(参考URL:ブルームバーグHP)
VHTに投資するには?日本の投資信託でも可能?
ヘルスケアETF VHTに投資するには、外国ETFを扱っている証券会社に口座開設して取引することになります。
残念ながらVHTは、楽天・VTIやSBI・VOOのように、海外ETFに投資をするタイプの投資信託は設定されていません。
VHTは、主要なネット証券であるマネックス証券、SBI証券、楽天証券などで取り扱っているので、米ドルでの取引となりますが、日本株を取引するのと同じ感覚で売買することができます。
ヘルスケアセクターに特化したインデックス投信はないので、日本円で購入できる投資信託が良いという方は、以下のようなS&P500など米国の株式市場全体に投資するタイプの投信が選択肢になると思います。
VHTの配当金・分配金のデータは?
安定した成長が期待できるヘルスケアセクターETF VHTの分配金データと配当金の推移を見ていきましょう。
- 分配金利回り : 1.10%
- 3年平均増配率:10.67%
- 5年平均増配率:3.10%
- 配当月:四半期ごと(3、6、9、12月)
(参考URL:Seeking Alpha HP)
2020年の分配金は2.71前年の3.62ドルから減配となっています。
ただ、3年平均の増配率が10%を超えていて、S&P500の増配率が約5%程度ということを考えると極めて高い水準。
(参考URL:Seeking Alpha HP)
分配金利回りは1.1%程度とそれほど高くないものの、概ね右肩あがりで分配金が上昇しています。
ヘルスケアセクター全体の業績は、景気の動向に影響されづらいこともあり、今後の増配にも期待できそうです。
VHTのリターンとパフォーマンスは?
過去5年のリターンをS&P500と比較したのが以下のチャートです。
2008年のリーマンショック以降、情報技術や大型ハイテク銘柄などのグロース銘柄の株価が大きく上昇していることもあり、これらの銘柄が含まれるS&P500がVHTよりもリターンが高くなっています。
ただ、ジェレミー・シーゲル博士の著書「株式投資の未来」によると、1957年〜2003年におけるヘルスケアセクターの年率リターンは14.19%であり、S&P500の10.85%を大きく上回っているんです。
将来的なリターンは当然のことながら分かりませんが、ヘルスケアセクター全体の収益は高齢化や人口増などもあり大きく伸びることが予想されるので、長期的には高いリターンが期待できそうです。
VHTは買いか?:メリット・デメリット
基本データや過去のパフォーマンスを見てきましたが、これらを踏まえてVHTに投資する
- 投資するメリット
- 投資するデメリット
についてまとめていきましょう。
投資するメリット
VHTのメリットをまとめると、
- 長期的に安定したリターンが期待できる
- 分配金の増配率が高い
- 経費率が低い
- 日本の主要ネット証券から購入できる
ということですね。
ヘルスケアセクターは、高齢化や人口増もあり売上高や利益など安定したディフェンシブ銘柄で構成されていることもあり、過去のパフォーマンスを踏まえると、長期的に安定したリターンが期待できます。
さらに、これだけ安定したリターンが期待できるETFでありながら年間の経費率が0.1%と非常に低い水準というのもポイントが高いです。
またバンガードのセクターETFは経費率0.1%となっていて、100万円投資しても年間の経費は1000円程度。長期間保有してもリターンへの影響はほとんどないと言えます。
なお、バンガード社の人気ETFということもあり、SBI証券、マネックス証券、楽天証券などの主要ネット証券から日本株を投資する感覚で投資することができます。
投資するデメリット
VHTのデメリットをまとめると、
- 分配金利回りが低い
- 短期的にはグロース銘柄よりリターンが劣る
ということですね。
過去3年の増配率は10%を超えていますが、VHTの株価も大きく上昇していることもあり分配金利回りは1.1%程度と他のセクターと比べても高くないです。
なので高い増配率を期待できるものの、現時点で高いインカムが欲しいならVHTは選択肢から外れますね。
また、薬品事業などのヘルスケアは安定した成長を期待できるセクターですが、IT銘柄や大型ハイテク銘柄などのグロース株に比べると成長力は見劣りします。
なお高い成長を期待できるITセクターで構成されるVGTも魅力的な上場投資信託(ETF)です。
特徴や魅力をまとめてますので、ぜひご覧ください。
VHTへの投資:個人的な感想
ヘルスケアセクターは世界情勢的にも好条件にあふれていることもあり、VHTへの投資は十分検討に値すると考えます。
世界的な人口は増加するとともに、先進国を中心に高齢化社会に突入し、ますますヘルスケアセクターの事業規模は拡大することは間違いないです。
さらに短期的には、新型コロナのワクチン需要や治療薬の伸びも期待できるでしょう。
一方、ヘルスケアセクターの個別銘柄は、
- 訴訟リスク
- 新薬や新しい医療機器の開発費が膨大
- 医療制度改革
という業績悪化リスクがあります。
特に医薬品メーカーは訴訟リスクに加え、新薬の開発に莫大なコストがかかる割には開発に失敗する可能性もあり、企業単位での当たり外れが大きいですね
さらに医療保険との関係で薬価が定期的に見直されますから、大幅に価格が安くなった医薬品を販売している企業の業績に影響がでることになります。
とはいえ、この懸念についてはヘルスケアの個別銘柄を念頭においた場合に問題になるのであってヘルスケアセクター全体の成長は間違いないと考えます。
幅広く分散投資を実現できるVHTであれば、リスクを分散することができるため、個別銘柄へ投資するよりは安心感が強いです。
まとめ:VHTは買いか?
米国のヘルスケアセクターETF VHTについて買いなのかどうか、ズバッと分析してきました。
記事の結論をまとめると、
- 業績鉄板のディフェンシブ銘柄を集めたETFに投資したい
- ヘルスケアの個別株投資はリスクが高いと考えている
- 長期的な安定したリターンを追求したい
- 日本のアクティブ型投信のコストが高くて投資する気にならない
ということです。
VHTの構成銘柄には、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー、メルク、アッビィなど安定した業績が期待できる企業により構成されてますが、訴訟や新薬開発の停滞により株価が急落することも珍しくありません。
VHTはヘルスケアセクターの企業にまるっと投資できることもあり、長期的なセクター全体の成長を取り込むことがてきる点で、優れたETFといえます。
それでは。