VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)はFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動する上場投資信託(ETF)のVTについて、投資はありか過去のデータなどをズバッと分析していきます。
- VTってどんなETFなのかわかる
- VTの過去の株価推移やリターンがわかる
- VTに投資する方法についてわかる
- VTに投資するメリット・デメリットがわかる
記事で詳細にみていきますが、VTの特徴をまとめると、
- 全世界の主要先進国を含む市場に分散投資ができる
- 全世界が投資対象だが、国別では米国が60%を占めている
- トータルリターンは米国のS&P500に及ばない
ということですね。
今回は、そんなVTに投資するメリットなど解説します。今後の米国株や米国ETFに投資する際の参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
上場投資信託(ETF):VTとは?
VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)は、バンガード社が運用するFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動した、先進国と新興国市場の両方を対象とし、米国内外の株式にまるっと投資できるETF(上場投資信託)です。
基本データ(2021年11月8日現在)
株価レンジ(52週) | 85.57 - 109.39ドル |
---|---|
経費率 | 0.08% |
分配金利回り | 1.51% |
1年リターン | 30.86% |
3年リターン | 17.80% |
5年リターン | 15.77% |
設定日 | 2008年6月26日 |
配当月 | 3月、6月、9月、12月 |
直近1年間のリターンは31%上昇していますが、5年リターンを見ても上昇率が年率16%弱と、米国投資の王道であるS&P500指数に連動するインデックスファンドとほぼ同等のリターンを出しています。
株価の推移(チャート):5年
2020年2月のコロナショックの際は他の株式同様、82ドル前後あった株価が56ドル前後まで急落しています。ただ、その後の回復は目覚ましいものがありますね。
直近5年の株価を見てもコロナショック急落時以外は、きれいに右肩上がりに上がっているのが分かります。
VTの組入上位銘柄について
ではVTの組入上位銘柄を見ていきましょう。VTの場合、アップルやマイクロソフト、アマゾンなど俗にいう「GAFAM銘柄」が上位を占めています。
世界が対象と言っても、組み入れ上位の銘柄の10社はすべて米国企業ですね。ただ、トップ10の比率をすべて足しても13.55%なので、広く分散されていると言えます。
VTのセクター(業種)別の比率について
VTのセクター別の比率を見ていきます。VTの上位セクターはアップルなどの情報技術セクターだけで20%を占めているのが特徴です。次いで金融セクターと一般消費財が続きます。
情報技術セクターが高い比率で入っていますが、ほかのセクターもバランスよく入っていますね。
VTの国別の比率について
VTの国別比率について見ていきます。
世界の主要先進国への分散投資とはいえ、約60%は米国への投資です。次いで日本が7%程度の組み入れ比率となっています。
VTに投資するには?日本の投資信託でも可能?
VTに投資するには、外国ETFを扱っている証券会社に口座開設して取引することになります。
日本にもVTのように全世界市場に投資できるeMAXIS slimシリーズや、楽天全世界株式インデックスファンドがありますので、以下の記事で詳しく紹介させていただいています。
VTは、マネックス証券、SBI証券、楽天証券などの主要ネット証券で取り扱っているので、米ドルでの取引となりますが、日本株を取引するのと同じ感覚で売買することができます。
VTの配当金・分配金のデータは?
それではVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)の分配金データと配当金の推移を見ていきましょう。
- 分配金利回り : 1.58%
- 分配金利回り(5年平均): 2.03%
- 3年平均増配率:1.51%
- 5年平均増配率:5.01%
- 配当月:3月、6月、9月、12月
(参考URL:Dividend Invester HP)
直近1年の分配金利回りは1.58%と決して高い数字ではないので、配当目的で買うETFではありませんね。5年平均増配率も5%台と決して低くありませんが、それ以上に株価が上昇していますので、どちらかというとキャピタルゲインを狙うETFとなります。
2020年の配当金は前年比で17%ほど少なくなっていますが、基本的に配当金も右肩上がりで増えています。
VTのリターンとパフォーマンスは?
以下は2008年の設定来のVTのチャートです。
2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック以外はきれいに右肩上がりの株価になっています。
また、直近10年のトータルリターンはS&P500が356%に対し、VTは206%ほどになっています。これは分散投資が効いている反面、パフォーマンの悪い市場が投資対象になっていることが原因ですね。
VTは買いか?:メリット・デメリット
VTのデータや過去のパフォーマンスを見てきましたが、これらを踏まえてVTに投資する際の
- 投資するメリット
- 投資するデメリット
についてまとめていきましょう。
投資するメリット
VTのメリットをまとめると、
- 世界の主要先進国に分散投資できる
- VTに間接投資できる投資信託がある
- 年間0.08%と圧倒的に安いコスト
- 日本の主要ネット証券から購入できる
ということですね。
まず挙げられるメリットは、世界の主要な先進国に分散投資できる点でしょう。また、楽天全世界株式インデックスファンドなど、間接的にVTに投資できる投資信託があるのも、大きなメリットの一つです。
仮にVTに100万円投資しても年間の経費は800円程度ですので、長期間保有してもリターンへの影響はほとんどないですね。
なお、バンガード社の人気ETFということもあり、SBI証券、マネックス証券、楽天証券などの主要ネット証券から日本株を投資する感覚で投資することができます。
投資するデメリット
VTのデメリットをまとめると、
- 1株の株価が高く、最低投資コストが12,000円ほどかかる
- 投資先が全世界のため、パフォーマンスの悪い市場も含まれる
VTの一番のデメリットはやはり投資対象が全世界である点です。分散投資であるメリットがそのままデメリットになることですね。投資対象が全世界であれば、必然的にパフォーマンスの悪い市場も入ってしまいます。
また、ほかのETF同様に投資コストが12,000円と低くありません。VTに投資する投資信託であれば100円から投資できますので、初心者は投資信託でいいでしょう。
VTへの投資:個人的な感想
デメリットにも書きましたが、VTのトータルパフォーマンスは不調な先進国も含まれるため、S&P500に大きく劣後しています。それは、ここ10年以上、米国市場が他国市場よりも好調だったからです。
しかし、今後20年~30年と見ていけばその限りではありません。もしかしたら米国市場が凋落する可能性もあり得ます。したがって、超長期目線で他国が米国を上回る可能性を考え、ETFではなく投資信託という形で、私は全世界株式ファンドを保有しています。
まとめ:VTは買いか?
VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)について買いなのかどうか、ズバッと分析してきました。
記事の結論をまとめると、
- 主要先進国を含む全世界をカバーして分散投資したい
- 投資信託を利用し、小額からVTへ投資したい
- 長期目線で、自分たちの子供世代を対象に資産として残したい
ということです。先程も書きましたが、VT一本で全世界市場をカバーできますので、ほかのETFを候補にするなら、アセットの違う不動産や金などを保有することをお勧めします。
それでは。