SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)はS&P500構成銘柄のうち、高配当の上位80銘柄を指数化したS&P500高配当指数に連動する上場投資信託(ETF)のSPYDについて、投資はありか過去のデータなどをズバッと分析していきます。
- SPYDってどんなETFなのかわかる
- SPYDの過去の株価推移やリターンがわかる
- SPYDに投資する方法についてわかる
- SPYDに投資するメリット・デメリットがわかる
記事で詳細にみていきますが、SPYDの特徴をまとめると、
- 設定来で年率平均10%以上の高いパフォーマンス
- 配当金利回りが4~5%と高配当ETFの中では優秀
ということですね。
今回は、そんなSPYDに投資するメリットなど解説します。今後の米国株や米国ETFに投資する際の参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
上場投資信託(ETF):SPYDとは?
SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)は、State Street社が運用するS&P500高配当指数に連動した、米国の高配当銘柄上位80社にまるっと投資できるETF(上場投資信託)です。
基本データ(2022年7月1日現在)
株価レンジ(52週) | 39.63 - 40.54ドル |
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経費率 | 0.07% |
分配金利回り | 4.00% |
1年リターン | 3.46% |
3年リターン | 6.71% |
5年リターン | 7.56% |
設定日 | 2015年10月22日 |
配当月 | 3月、6月、9月、12月 |
直近1年間のリターン3%近く上昇していますが、22年に入って金利引き締めによって株式市場全体が下落していることを考えると、まずまずの結果と言っても良いかと思います。
5年リターンを見ても上昇率が年率8%程度であり、全体のパフォーマンスとしては悪くありません。
株価の推移(チャート):5年
2020年2月のコロナショックの際は他の株式同様、40ドル前後あった株価が約半分の22ドル前後まで急落しています。その後、コロナの状況が落ち着くにつれ、コロナ前の水準を超えるほどに回復しています。
ただ、設定日が2015年なのでまだ6年しか経過しておらず、長期的な視点で見るには少し情報が少ないですね。
SPYDの組入上位銘柄について
ではSPYDの組入上位銘柄を見ていきましょう。SPYDの場合、S&P500銘柄のうち、配当金が高い上位80銘柄が均等に組み入れられていますので、突出して高い比率の銘柄はありません。
銘柄を見ていくと、普段は見慣れない銘柄ばかりが並んでいますね。セクター別比率でも紹介していますが、金融や不動産などが多いです。
SPYDのセクター(業種)別の比率について
SPYDのセクター別の比率を見ていきます。SPYDの上位セクターは金融がトップにあり、ディフェンシブセクターである公益事業やエネルギーで占められています。
金融や不動産は景気動向による金利の影響を受けるセクターであり、公益事業やエネルギーなどは、どちらかというと不景気に強いディフェンシブセクターに分類されます。
後ほど紹介しますが、同じ高配当ETFであるバンガード社のVYMなどには不動産関連企業(REIT)が含まれていないので、セクターを分散させるという意味ではSPYDとVYMの両方を保有しておくのも悪くありませんね。
SPYDに投資するには?日本の投資信託でも可能?
SPYDに投資するには、外国ETFを扱っている証券会社に口座開設して取引することになります。
残念ながらSPYDは、楽天・VTIやSBI・VOOのように、海外ETFに投資をするタイプの投資信託は設定されていません。
SPYDは、マネックス証券、SBI証券、楽天証券などの主要ネット証券で取り扱っているので、米ドルでの取引となりますが、日本株を取引するのと同じ感覚で売買することができます。
SPYDのような特徴を持った商品を日本の投資信託で買おうとしても、残念ながら構成内容が一致するような投資信託はありません。
SPYDの配当金・分配金のデータは?
それではSPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)の分配金データと配当金の推移を見ていきましょう。
- 分配金利回り : 4.00%
- 3年平均増配率:-2.49%
- 5年平均増配率:0.01%
- 配当月:3月、6月、9月、12月
(参考URL:Dividend Invester HP)
分配金利回りが直近で5%を超えており、5年平均を見ても4.89%と高配当ETFの中では群を抜いています。
上記は直近5年の配当利回りのチャートですが、おおむね4%~5%の間に収まっています。ただ、コロナショックの時は株価の急落により、配当利回りが一時9%近くまで上昇しました。
この時期にSPYDを買えた人はラッキーでしたね。
また、5年平均の増配率がマイナスになっているので、新型コロナ拡大によって企業業績が安定しなかったこともあり、分配金は不安定になっていますね。
SPYDのリターンとパフォーマンスは?
以下は2015年の設定来のSPYDのチャートです。
まだ設定来で6年ほどしか経過していないため、長期予想は難しいですが、コロナショックの急落を除けば、少しずつ右肩上がりになっているのが見て取れます。
また、設定来のリターンは年平均10%強の高いパフォーマンスを出しており、配当金のインカムゲインと値上がり益のキャピタルゲインの両方を狙えるETFとなっています。
SPYDは買いか?:メリット・デメリット
SPYDのデータや過去のパフォーマンスを見てきましたが、これらを踏まえてSPYDに投資する際の
- 投資するメリット
- 投資するデメリット
についてまとめていきましょう。
投資するメリット
SPYDのメリットをまとめると、
- 他の高配当ETFの中でも群を抜いた高い配当利回り
- 設定来で10%強の高いパフォーマンスを出している
- 経費率が低い
- 日本の主要ネット証券から購入できる
ということですね。
まず挙げられるメリットは、やはり他社の高配当ETFよりも頭一つ抜き出ている高い配当利回りでしょう。また、高い配当利回りにもかかわらず、キャピタルゲインも狙えるETFとなっています。
SPYDに100万円投資しても年間の経費は700円程度ですので、長期間保有してもリターンへの影響はほとんどないですね。
なお、State Street社の人気ETFということもあり、SBI証券、マネックス証券、楽天証券などの主要ネット証券から日本株を投資する感覚で投資することができます。
投資するデメリット
SPYDのデメリットをまとめると、
- 組み入れ銘柄が高配当中心の80社しかなく、集中投資に偏りがち
- セクター別にみると金融と不動産やエネルギーに偏りがち
- トータルリターンではバンガード社の高配当ETFのVYMに劣る
- 高配当銘柄を組み入れるため、株価が上がりにくい特徴がある
やはり1番のデメリットはトータルリターンを見た限り、バンガード社の高配当ETFであるVYMに負けてしまう点です。もちろんSPYDは6年しか歴史が無いため、これからのパフォーマンスについては推し量れませんが、現時点ではVYMに軍配が上がるといえます。
ただ、VYMには含まれていない不動産セクターの比率が16%前後あるので、セクターの偏りを分散させる目的でSPYDを保有しておくのも悪くありません。
また、一般的に株価が上昇すれば配当利回りは下がる関係にあります。そのため、株価が上昇してしまった銘柄は、株価が下がって配当利回りが高くなった銘柄に入れ替えられるため、株価が上がりにくい特徴を持っています。
参考までにSPYDとVYM、それとブラックロック社の高配当ETFであるHDVの比較チャートを載せておきます。
この比較チャートを見ると、SPYDとHDVはほぼ同等のリターンですが、VYMの方が総じて高いリターンをたたき出しています。
SPYDへの投資:個人的な感想
設定来で見ても比較的高いパフォーマンスを出しているSPYDなので、高い配当金をもらいつつ、キャピタルゲインも狙えるETFとなっています。
ただ、デメリットにも書いていますが、トータルリターンではバンガード社の高配当ETFであるVYMに劣後していますので、20代や30代の若い世代であれば、より分散投資でリスクの低い、長期パフォーマンスで優れているVYMの方が適していると言えます。
まとめ:SPYDは買いか?
SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)について買いなのかどうか、ズバッと分析してきました。
記事の結論をまとめると、
- 高い分配金目的にお小遣いとして不労所得を得たい
- 分配金以外にキャピタルゲインも狙いたい
ということです。先程も書きましたが、同じ高配当のETFでもセクターの偏りを分散させるという意味で、SPYDとVYMの両方を持っておくのは悪くありません。
それでは。