「米国の高配当ETFが人気だけど、どの運用会社のETFを買えばいいかわからない」
個人投資家の間でも悩む人が多いこの疑問にこたえるべく、この記事では米国市場に上場する代表的な高配当ETFであるSPYDとVYM、およびHDVを比較していきます。
- SPYDとVYM、およびHDVの基本情報を比較
- SPYDとVYM、およびHDVのメリットとデメリットを解説
- SPYDとVYM、およびHDVのどれを買えばいいのかが分かる
具体的に比較する前に、このブログでも以前、SPYDとVYM、およびHDVの個別紹介を記事にしていますので、先に確認してから進めたいと思います。
詳細記事を簡単にまとめると、まずSPYD(S&P500高配当)は
- 高配当ETFの中でも突出して高い配当金利回り
- S&P500銘柄の中で配当金利回りの高い上位80社に均等分散投資
- 高配当銘柄の入れ替えでキャピタルゲインが得られにくい
ということでしたね。続いてVYM(バンガード高配当)を見てみると
- 構成銘柄が約400社あり、分散投資できる魅力がある
- インカムゲインだけでなく、キャピタルゲインも狙えるETF
- VYMに投資する投資信託がある
ということでしたね。つづいてHDVを見てみます。
- 投資対象銘柄が75社と限定的
- 財務基盤の良好な企業が選定されている
- 分配金利回りはVYMよりも高い
この基本的なポイントを抑えつつ、SPYDとVYM、およびHDVを比較していき、最終的にどのETFを買えばいいかという悩みを解決できればと思っています。
ぜひ最後までご覧ください。
【比較①】SPYD、VYM、HDVの基本情報
SPYD | VYM | HDV | |
株価レンジ(52週) | 31.85 - 42.64ドル | 88.97 - 111.14ドル | 86.18 - 100.48ドル |
経費率 | 0.07% | 0.06% | 0.08% |
分配金利回り | 3.80% | 2.74% | 3.11% |
1年リターン | 27.71% | 22.53% | 12.67% |
3年リターン | 8.77% | 13.44% | 6.99% |
5年リターン | 7.56% | 11.06% | 7.69% |
構成銘柄数 | 79銘柄 | 410銘柄 | 75銘柄 |
設定日 | 2015年1022日 | 2001年5月31日 | 2011年3月31日 |
配当月 | 3、6、9、12 | 3、6、9、12 | 3、6、9、12 |
経費率はVYMが0.06%と一番低いのですが、分配金利回りもSPYDとHDVに比べ、低くなっています。その代わり、株価のトータルリターンは他のETFよりも高くなっているので、VYMはキャピタルゲインも狙えるETFと言えます。また、構成銘柄数を見てもVYMは約400社と分散投資が効いており、リスク分散ができますね。
【比較②】SPYD、VYM、HDVのリターンは?
つづいてSPYDとVYM、およびHDVのリターンとパフォーマンスを見ていきます。下の過去5年の株価チャートを見ると分かりますが、リターンの差はVYMが頭一つ飛び出していますね。SPYDとHDVは分配金利回りが高い分、キャピタルゲインが抑えられています。
※SPYDがオレンジ線、HDVが赤線、VYMが青線です。
2020年3月のコロナショックの際は、それぞれ同じように下落しています。
【比較③】SPYD、VYM、HDVの分配金利回りは?
それでは高配当ETFの最大の魅力である分配金利回りを見ていきます。
SPYD | VYM | HDV | |
2020年 | 4.95% | 3.18% | 4.07% |
2019年 | 4.43% | 3.03% | 3.27% |
2018年 | 4.75% | 3.40% | 3.67% |
2017年 | 4.63% | 2.80% | 3.27% |
2016年 | 4.34% | 2.91% | 3.28% |
2015年 | 1.13% | 3.22% | 3.92% |
2014年 | 2.78% | 3.20% | |
2013年 | 2.81% | 3.17% | |
2012年 | 3.23% | 3.56% | |
2011年 | 2.93% | 1.65% |
分配金利回りだけを見ると、SPYDが平均して4%を超えており、他ETFを圧倒しています。
※SPYDは設定が2015年なので5年分の実績しかありません。
高配当を得るか、値上がり益を狙うか?
高配当を狙うか、値上がり益を狙うかは投資家の方針で変わります。ただ、SPYDのように高い分配金利回りを出すETFは、仮に構成銘柄の株価上昇により分配金利回りが下がった場合、高い利回りを維持するためにリバランスされてしまいます。
したがって、高配当を得る代わりにキャピタルゲインが狙えないといったデメリットを持ち合わせています。
分配金は再投資の方がリターンがいい?
分配金はもらうときに特定口座であれば自動的に外国所得税と金融所得税が引かれるので、実際に手に入るのは7割程度です。確定申告することによって外国所得税の一部は還付されますが、確定申告することが面倒だと感じる人も多いでしょう。
そのため、投資信託のように配当金は自動的に再投資されるほうが、実はリターンがよくなるケースもあります。
【比較④】SPYD、VYM、HDVの口コミ、評判
ではSPYDとVYM、およびHDVの世間での評判や口コミを見ていきます(twitterより)。
正直、高配当ETFはどれを買えばいいかわからない
株を始めた1年前に高配当ETF欲しくて、でもどれを買えば良いか分からない…ってなったので全部買いました。
・VYM +38.16%
・HDV +23.44%
・SPYD +45.42%今のところSPYDが頭一つ抜け出してる感じです☺️
— ツトム (@tutomu_tutomu) December 9, 2021
高い分配金を狙うならSPYDがいいかもしれません。
高配当は成熟産業で成長が見込めないリスク
米国株ETFでインカムゲイン重視だとどうしても高配当ETFに目がいくけど、高配当=成長が見込めない(再投資しない)とも言えるから、キャピタルゲインが見込めない上、将来的には配当も下がるリスクがある。
だから、配当率が高すぎるETFは避けるべき。
— ついぶる (@harvey61616) December 4, 2021
高配当の代表的な個別銘柄にJTをはじめとしたたばこ産業が多いのは、市場が飽和しており、成長が見込めないからですね。JTが減配したのは記憶に新しいと思います。
配当をもらうことは、先に利益を分配すること
高配当ETFは、購入するのやめた。
10月の安い時期に買い増ししなかったことの後悔から、つい3日前の値下がり時にHDVを買い足したけど、今の方が値段下がってるじゃん(笑)
配当をもらうことを理想に積み上げて行ったが、再投資型の投資の方が自分には合ってると、つくづく思った。
— ユイト@盗賊と呼ばれた親ばか (@yuito452) December 2, 2021
「毎月の配当金で不労所得」はだれでも憧れますが、買うタイミングによっては高値掴みしてしまうことですね。配当金をもらっても税金が引かれるので、実は投資信託のように配当金は自動的に再投資されるほうが、トータルリターンが高かったりします。
【比較⑤】SPYD、VYM、HDVに連動する投資信託は?
SPYDとVYM、HDVはどれも人気のETFであり、各大手証券会社ではその中でもVYMに投資する投資信託を販売しています。SBI証券の「SBI・V・米国高配当株式」もコストが非常に低いのが特徴です。楽天証券では「楽天・米国高配当株式インデックスファンド(通称:楽天VYM)」という投資信託を取り扱っており、個人投資家の間でも人気になっています。
SBI・V・米国高配当株式 | 楽天・米国高配当株式インデックスファンド | |
---|---|---|
買付手数料 | 無料(ノーロード) | 無料 |
分配金 | なし | なし |
信託報酬 | 0.1238% | 0.192% |
運用会社 | SBIアセットマネジメント | 楽天投信投資顧問 |
投資信託の特徴は
- 100円から円建てで少額投資ができる
- 分配金は出さずに自動的に再投資される
- つみたてNISAの対象商品である
ことが挙げられますので、「ほったらかし」という手軽さでは投資信託のほうが向いていると言えます。SBI・V・米国高配当株式と楽天・米国高配当株式インデックスファンドについては、このブログでも紹介していますので、以下のURLから参考にしてください。
【結論】SPYD、VYM、HDVは結局、どれを買えばいいの?
今回は、高配当ETFでも人気のあるステート・ストリート社のSPYD、バンガード社のVYM、およびブラックロック社のHDVを比較検討し、紹介しました。正直なところどれも甲乙つけがたいほど優秀なETFなので、長期保有を目的に買えばどのETFを買っても大きく失敗することはないと言えます。
- 高い分配金利回りを狙いたい → SPYD
- インカムゲインとキャピタルゲイン両方を狙いたい → VYM
- できるだけ幅広く分散投資させたい → VYM
- 財務基盤の優良な銘柄に投資したい → HDV
ということですね。
正直なところ、今回紹介したETFのどれを買うか、どのように組み合わせるかは個人の好みでいいと思います。私は分配金利回りは低いものの、株価の値上がりも期待できるVYM一本に絞っています。
また、配当による二重課税などが面倒に感じる人は、SBI・Vシリーズや楽天・米国高配当株式インデックスファンドのように投資信託で運用する方法もあるので、投資初心者の人は少額から始められる投資信託をおすすめします。
それでは。